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実家じまい7ー空き家譲渡所得の3000万円特別控除(空き家特例)

実家じまい
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放置空き家は地震や火事で…

7月に起こった熊本地震の被災地で、空き家が崩れて周辺にがれきが散乱するケースが相次ぎました。自治体は所有者を特定して撤去したいところですが、見つけ出すのに手間がかかることもあります。2024年の能登半島地震では、がれきが残った状態でも「建物がなくなった状態」と見なして法務局が登記を消す「滅失登記」し、所有者の特定や同意なしで自治体が公費解体できるようにしました。

また、2025年の大分市佐賀関の大規模火災では、被災した建物のうち空き家は約70棟で全体のおよそ4割を占めていました。手入れが行き届かない空き家は火災に弱いため、空き家への飛び火が火災の被害を拡大した可能性が指摘されています。全国に900万戸以上あり総住宅数の13.8%占める空き家は防災上の大きなリスクとなっているのです。

「空き家特例」とは

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」(略して「空き家特例」)とは、放置空き家の発生を抑制するために、居住していた方が亡くなって空き家になった家屋を相続または遺贈により取得した人が、その家屋または敷地等を売却し、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額(売却益)から最高3,000万円(または最高2000万円)まで控除できる制度です。

親御さんが亡くなって実家を使用する予定がなければ、一周忌が終われば時間をかけずに売りたいと思われる方もいるでしょう。放置しておくと毎年固定資産税や都市計画税、火災保険料もかかりますから。しかし、不動産を売却したときの譲渡所得税率は、所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」は約20%、5年以内の「短期譲渡所得」は約40%とバカになりません。

相続の場合の所有期間は、被相続人(亡くなった人)の所有期間を引き継いで判定します。そのため、相続直後の売却でも「長期譲渡所得」になるケースがほとんどです。仮に実家が3500万円で売れて、仲介手数料や測量費、解体費などの必要経費が500万円かかったとしましょう。「譲渡取得=譲渡価格(収入金額)−必要経費(取得費+譲渡費用)」なので、譲渡所得は3000万円になります。

「空き家特例」を使わなければ、「長期譲渡所得」3000万円に税率約20%をかけて約600万円を納税することになります。しかし、「空き家特例」で3000万円控除すれば譲渡所得は0円です。もちろん譲渡税も0円になるので、約600万円節税できるというわけです。これは知っている人がかなり得をする制度ですが、適用要件のハードルが高めなので税理士さんに相談することをおすすめします。

「空き家特例」の適用要件は?

家屋・敷地の要件

この特例は「耐震性の低い危険な空き家の解消」を目的としています。一定の要件を満たして売却した場合に最高3000万円(または最高2000万円)の特別控除を認めることで、「古い空き家をそのまま放置せず、耐震改修や解体を進めて市場に出してもらう」ことを後押しする制度とも言えるでしょう。したがって、「空き家特例」が適用されるのは、次の要件をすべて満たした家屋・敷地となります。

  1. 1981年5月末までに建築された「旧耐震基準」の戸建て住宅(マンションはNG)
  2. 相続開始の直前に、被相続人(亡くなった人)がひとりで居住していた空き家(被相続人が老人ホーム等に入所していても適用対象になる場合があります)
  3. 相続開始から売却まで、一時期でも誰かに貸したり親族が住んだりしていない空き家

売却の要件

「空き家特例」を受けるための売却方法は次の4パターンになります。

  1. 売主が家屋を解体して土地だけにして売却
  2. 売主が家屋を耐震改修し現行の耐震基準に適合させてから家屋と敷地を売却
  3. 購入した買主が売却日の翌年2月15日までに家屋を解体して土地だけにする
  4. 購入した買主が売却日の翌年2月15日までに家屋を耐震改修し現行の耐震基準に適合させる

この特例は単なる相続支援ではありません。繰り返しますが、「古い空き家をそのまま放置せず、耐震改修や解体を進めて市場に出してもらう」ことを後押しする制度です。したがって、耐震性が不十分な家屋をそのまま流通させることはできません。家屋を売却する場合は2.4.のように、耐震改修して現行耐震基準に適合させないと「空き家特例」を受けることはできません。

また、従来は1.2.の2パターンのみでしたが、2024年1月から3.4.の買主による解体・耐震改修もOKになり、売主が解体費用を負担することなく、現状有姿の「古家付き土地」で売却しやすくなりました。ただし、買主パターンは、買主が期限を守って解体・耐震改修を完了させないと、売主が「空き家特例」を受けられなくなります。契約事項として契約書に明記するなどの手だてが必要でしょう。

次の要件にもご注意ください。

  1. 相続開始日から3年が経過する年の12月31日までの売却
  2. 売却価格は1億円以下
  3. 親子や夫婦など「特別の関係がある人」以外への売却

なお、「空き家特例」の控除額は相続人が2人までは最高3000万円ですが、3人以上になると最高2000万円になります。相続人それぞれの売却益から控除できます。

敷地と家屋はセットで相続

「売却する相続人が被相続人(亡くなった人)から敷地と家屋の両方を取得していること」も要件のひとつです。つまり、一次相続(父死亡)で敷地を子が、建物を母(故人の妻)が取得。二次相続(母死亡)で建物を子が取得した場合は「空き家特例」は使えません。「空き家特例」を利用するためには、必ず「敷地と家屋をセット」で同一の人が相続するように、事前の出口戦略を立てることが重要です。

特別控除を受けるための手続き

手続きの流れ

  1. 空き家の所在地の市区町村に「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を申請する
  2. 確認書とその他の必要書類をそろえて、管轄税務署で確定申告を行う
  3. 特別控除が適用される

必要になる書類を早めに把握

必要になる書類とは、ひとことで言えば、すべての要件に適合していることを証明する様々な証拠資料です。例えば、「相続開始から売却まで、一時期でも誰かに貸したり親族が住んだりしていない空き家」だったことを証明する書類は、電気・ガス・水道の使用中止日(閉栓日)がわかるもの(使用中止日が記載された閉栓証明書や使用量がゼロであることがわかる検針票や領収書)などです。

また、被相続人(亡くなった人)が老人ホーム等に入所していた場合、要介護認定を受けていたことがわかる書類(被保険者証の写し等)や施設の入所契約書などが必要になります。なお、特に空き家を解体するために書類の処分などを進めてしまうと、「申請に必要だったのに捨ててしまった…」ということになりかねません。何が必要になるかをできるだけ早めに把握しておくことをおすすめします。

桜町不動産
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「空き家特例」は要件にあてはまれば最高3000万円まで控除できるので、特に地価が高い都市部の空き家では、手続き等で多少大変な思いをしてもトライする価値はありるでしょう。ハードルが高めなので、できれば被相続人となる方がお亡くなりになる前から税理士さんに相談することをおすすめします。


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