マイホーム購入は生涯で最も大きな買い物の一つです。だからこそ、しっかり準備して慎重に進めていかなければなりません。私も大手ハウスメーカーから地元の工務店まで、数えきれないほど物件を見せてもらって、どんな家にしようか、どこの会社に頼もうかとあれこれ検討しました。期待に胸を膨らませてワクワクする楽しいひと時でしたが、一方で資金計画では夢から現実に戻されました。
しかし、住宅ローンを使う予定なら、資金計画は避けては通れません。ここでは、全体予算を構成する、頭金、借入額、諸費用についての考え方などをていねいに解説し、個々の家計に応じた無理のない資金計画の立て方をご案内します。
マイホームの適正予算を決める
マイホームの適正予算は「借入適正額+自己資金ー諸費用分」と考えられています。「借入適正額」は金融機関からの借入可能額と無理なく返せる借入額のうち小さい方の金額、「自己資金」は現在の貯蓄の中からマイホームの取得に充てることができる金額や親からの援助になります。「諸費用」は住宅取得時のみならず、住宅ローン利用時、住宅取得後も継続してかかる諸費用及び税金のことです。
無理なく返せる借入額を試算する
繰り返しますが、「借入適正額」は金融機関からの借入可能額と無理なく返せる借入額のうち小さい方の金額です。銀行のウェブサイトには「現在の年収とお借入れ希望期間からお借入れ可能額を試算します」といったシミュレーションがありますが、この「借入可能額」が「無理なく返せる借入額」とイコールではありません。だから、「無理なく返せる借入額」を算出する必要があります。
「無理なく返せる借入額」の考え方と算出の方法は住宅ローンプランニングで特に重要なポイントのひとつです。「無理なく返せる借入額」は「無理なく返せる借入元金+その利息」で、「毎月無理なく返せる額」×12か月×「無理なく返し続けられる年数」+利息の合計で求めることができます。まずは「毎月無理なく返せる額」と「無理なく返し続けられる年数」について慎重に検討しましょう。
毎月無理なく返せる額は?
毎月無理なく返せる額の計算式は「毎月の住宅関係費ー住宅取得後の維持費等」です。これは「マイホーム取得前の住宅費分-マイホーム取得後に増える支出分」を表し、マイホーム取得後も純粋に住宅費に充当できる金額を意味します。
具体的には、「毎月の住宅関係費」は現在払っている家賃と駐車場代、住宅取得のために積み立ててきた金額(ボーナス分は加味しない)を月割して加えた額から、「住宅取得後の維持費等」はマイホーム取得時にかかる固定資産税や都市計画税のほか、マンションでは新たに発生する管理費や修繕積立金、戸建てでは増加が見込まれる光熱費(1~2割程度)などから算出します。
無理なく返し続けられる年数は?
「最長50年で月々の返済額が軽減」なんてキャッチコピーで集客を図る金融機関も少なくありませんが、35年ローンでも35歳から35年間返済を続けると完済年齢は70歳になります。退職金をあてにしようにも退職金制度を廃止する企業は増えているし、公的年金も支給開始は65歳、少子化が加速度的に進む中で年金額もあてにできません。
70歳まで返済を続けることが本当に可能かどうかは慎重に検討したほうがよいでしょう。繰り上げ返済が確実に見込めるのであれば、返済期間をやや長めに設定しても構わないでしょうが、そうでなければ、完済年齢は定年、または働くのをやめる年齢など、やや短めに見積もったほうがベターです。団信(団体信用生命保険)にあてにして返済期間をできるだけ長くする考え方もありますが、私はお勧めしません。
「毎月無理なく返せる額」と「無理なく返し続けられる年数」を決めれば、金利の条件を加味し、シミュレーションソフトやローン電卓を使って「無理なく返せる借入額」を試算できます。ちなみに「毎月無理なく返せる額」が10万円、「無理なく返し続けられる年数」が30年、金利2.0%で試算すると2705万円になります。金融機関の住宅ローンのシミュレーションサイトをご参考までに。
住宅取得にかかる諸費用
住宅取得時には、印紙税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税など、さまざまな税金がかかります。また、不動産会社や土地家屋調査士、司法書士、金融機関、保証会社、損害保険会社など、関係した業者からはさまざまな名目で費用が請求されます。
その他にも引っ越し費用や新居での家具や電化製品なども考慮する必要があるでしょう。諸費用の金額は、建設費・購入価額の10%程度は見積もっておいた方がいいでしょう。
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物件に対するこだわりや希望を優先するあまり、住宅ローン返済の負担感を検証しないお客様もいらっしゃいますが、マイホームは金額が大きいので、その金額の重みや数百万円の違いがその後のライフプランに大きく影響します。しっかり準備して慎重に進めていきましょう。
次回は、住宅ローンの「頭金」について、ていねいに解説します。
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