新年早々「フラット35 初の2%超え」なんて見出しのニュースが流れました。住宅ローンの金利の種類には変動金利と固定金利、それに金利ミックス型がありますが、一般に変動金利は日本銀行の政策金利に影響される短期プライムレート(短期金利)、固定金利は10年国債利回り(長期金利)で決まります。12月に日銀が政策金利を0.75%に引き上げ、さらには財政悪化の懸念などから長期金利も28年ぶりの高水準となりました。
それで変動金利とともに全期間固定金利の「フラット35」の金利も上がります。2017年10月に現行制度になって初めて金利が2%を超えましたが、今後も金利上昇が見込まれているため、変動金利に比べ金利動向を気にせず返済計画を立てられる固定金利型の需要が高まっているそうです。建築資材の高騰・高止まりの一因となっている円安の動きも気になります。金融市場から目が離せませんね。
「元利均等」と「元金均等」は何が違うの?
これまで、資金計画の考え方や住宅ローンの仕組みについて、「全体予算」「頭金」「公的住宅ローン(財形投融資)」「金利の種類(固定金利・変動金利)」の順に解説しました(途中で預金連動型住宅ローンも)。今回は「返済方法」です。「返済方法」には元利均等返済と元金均等返済があります。名前は1文字しか違いませんが、返済方法にどのような違いがあるのでしょうか?
「元利」の「元」は元金、お金を借りた際の元々の金額のこと、「利」は利息のことです。だから、元利均等返済は元金+利息(毎月の返済金額)が一定額となる返済方法です。一方、元金均等返済は毎月一定の「元金」に残元金に対しての利息額を上乗せして支払う返済方法で、毎月の返済金額ははじめは多く、返済が進むほど少なくなります。返済方法等の違いを整理してみましょう。
| 項目 | 元利均等返済 | 元金均等返済 |
|---|---|---|
| 毎月の返済額が均等なのは | 元金+利息 | 元金部分のみ |
| 毎月の返済額は | (金利が同じ場合)一定 | 当初は多く徐々に減っていく (残元金に対する利息分の返済が減少する) |
| 元金部分の減り方は | 当初は少なく徐々に増えていく | 一定 |
| 総支払額(返済期間が同じ場合) | (残元金の減り方が遅いので)多くなる | 少なくなる |
| 取扱金融機関と利用者 | 多い | 少ない |
シミュレーションしてみましょう。借入額3000万円、金利3.0%、返済期間30年の場合、元利均等返済では毎月の返済額は下表のようになります(3~358回は省略)。総返済額は約4554万円です。
| 支払回数 | 元金 | 利息 | 毎月返済額 | 借入残高 |
|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 51,481円 | 75,000円 | 126,481円 | 29,948,519円 |
| 2回目 | 51,610円 | 74,871円 | 126,481円 | 29,896,909円 |
| 359回目 | 125,852円 | 629円 | 126,481円 | 126,007円 |
| 360回目 | 126,007円 | 315円 | 126,322円 (最終回は端数調整) | 0円 |
同じ条件で、元金均等返済では毎月の返済額は下表のようになります(3~358回は省略)。総返済額は約4354万円と約200万円少なくなります。
| 支払回数 | 元金 | 利息 | 毎月返済額 | 借入残高 |
|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 83,333円 | 75,000円 | 158,333円 | 29,916,667円 |
| 2回目 | 83,333円 | 74,791円 | 158,124円 | 29,833,334円 |
| 359回目 | 83,333円 | 416円 | 83,749円 | 83,453円 |
| 360回目 | 83,453円 (最終回は端数調整) | 208円 | 83,661円 | 0円 |
「元金均等」の方が総返済額が少ないが…
改めて元利均等返済と元金均等返済の特徴を整理してみましょう。アンダーラインは黄色が毎月の返済額に関すること、赤色が元金部分の減り方に関すること、青色が総返済額に関することです。
| 元利均等返済 | 元金均等返済 | |
|---|---|---|
| メリット | ・毎回の返済額が一定なので返済計画が立てやすい ・元金均等返済に比べ、当初の返済負担が軽い ・ほとんどの金融機関で取り扱われている | ・毎月の返済額(元金+利息)は返済が進むほど少なくなる ・同じ返済期間であれば、元利均等返済よりも総返済額が少なくなる ・元利均等返済に比べ、借入残高の減り方が早い |
| デメリット | ・同じ返済期間であれば、元金均等返済よりも総返済額が多くなる ・元金均等返済に比べ、返済開始当初における借入残高の減り方が遅い | ・元利均等返済に比べ、当初の返済負担が重い ・元利均等返済に比べ、借り入れ可能額が少なくなる ・一部の金融機関しか取り扱っていない |
一見すると元金均等返済の方がメリットが大きいようにも見えますが、当初の返済額に無理がないか検討が必要です。また、金融機関による審査は当初の返済額を基準に行われるので、借入可能額は元利均等返済を選択したときよりも少なくなることにも注意しましょう。ただし、将来は教育費負担が重くなるなどの理由で、早いうちに多くの返済をしておきたいという場合は元金均等返済が向いていると言えます。
「ボーナス併用」はどうすればいい?
返済額を計算するときは、借入額全体を毎月返済分とボーナス返済分に分けてそれぞれ計算します。ボーナス返済に振り分けられる割合は、フラット35では借入額全体の40%以内ですが、他の民間住宅ローンは50%以内が多いようです。下表は借入額2000万円、金利3.0%、返済期間30年、元利均等返済の場合の返済額を、ボーナス返済分の割合別に表したものです。
| ボーナス返済分の割合 | 毎月返済額 ① | ボーナス返済額 ② | ボーナス返済月の返済額 ①+② |
|---|---|---|---|
| 借入全体の0% | 84,320円 | ー | 84,320円 |
| 借入全体の10% | 75,888円 | 50,786円 | 126,674円 |
| 借入全体の20% | 67,456円 | 101,573円 | 169,029円 |
| 借入全体の30% | 59,024円 | 152,360円 | 211,384円 |
| 借入全体の40% | 50,592円 | 203,147円 | 253,739円 |
ボーナス返済分の割合を高くすれば毎月返済額を低く抑えることができます。しかし、ボーナスは景気や会社の業績に左右され、最悪出ない可能性だってあります。ボーナスに頼った返済計画は危険です。また、ボーナス返済があることで、住宅ローンの返済以外にボーナスを使えなくなる可能性が高くなります。数年後に子どもの進学を控えている場合などは、教育資金をボーナス以外で貯める方法も考えておく必要があるでしょう。
できればボーナス返済は利用しない、利用してもボーナス返済分はできるだけ少なめにするのが無難です。ボーナス返済ではなく、繰り上げ返済を利用するという方法もあります。ただし、繰り上げ返済を行う場合、手数料がかかる金融機関もあります。住宅ローンを検討する際に繰り上げ返済手数料無料のところを選ぶか、ある程度まとまった額に達したら繰上返済するようにするとよいでしょう。
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これまで「全体予算」「頭金」「公的住宅ローン(財形投融資)」「金利の種類(固定金利・変動金利)」「返済方法(元利均等・元金均等)」といった、資金計画を立てたり住宅ローンを選択したりする際に不可欠な基礎知識について、できるだけ具体的に解説してきました。マイホームをお考えの皆様の少しでもお役に立てれば幸いです。
次回は、30年ぶりに迎えた「金利がある世界」での「繰り上げ返済」や「借り換え」について解説します。
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