マイホームのための上手な資金計画5-「実質金利0%」の預金連動型住宅ローン?

上手な資金計画
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「金利がある世界」で変わること

2024年3月、日本銀行によるマイナス金利政策が解除され、日本は約30年ぶりに「金利がある世界」になりました。預金をすればちゃんと利息が付きます。生命保険会社の「予定利率」の引き上げで、受け取る保険金額が増えたり保険料が引き下げられたりする可能性もあります。

しかし、借金(ローン)は困ったことになります。国は国債の利払いが膨らみます。家計の最大の借金、住宅ローンも然りです。実際、政策金利の上昇にともない、2025年4月の変動金利型住宅ローンの金利はおおむね0.15%~0.35%上昇しました。

また、全期間固定金利型(フラット35など)に影響を及ぼす「長期金利(10年物国債の利回り)」も、2023年頃から上昇しています。国内外の政治が不透明なことから日本銀行はここ半年は政策金利を据え置いていますが、物価上昇が顕著なこともあり、「金利上昇局面」は続くとの見方が大半です。

預金連動型なら「実質金利0%」?

さて、住宅ローン金利の上昇が懸念されるなか、すごい住宅ローンとして「預金連動型住宅ローン」への関心が高まっています。これはローンの利息を小さくするには「頭金として多く支払う」のではなく「預金として多く積み上げる」という画期的な商品です。

この商品は、2003年2月に東京スター銀行が先駆けて販売しましたが、金利引き下げ競争の激化により、一時的に取り扱いが停止されていました。しかし、「金利がある世界」に戻るのをきっかけに、2025年1月に販売が再開されました。

預金連動型住宅ローンは、対象預金(普通預金など)残高に応じて住宅ローンの金利が変動する、または利息がキャッシュバックされる仕組みです。預金残高と同額の借入残高には金利がかからないため、預金残高が多いほど住宅ローンの金利負担を抑えられ、「実質金利0%」も可能です。

住宅ローン控除と団信保険

ここで、「預金があればキャッシュで払えばいい」「利息を抑えるには頭金を増やせばいい」なんて声が聞こえてきそうです。ローンを組むには面倒な手続きが必要、事務手数料(東京スター銀行は借入額の2.2%)等もバカになりません。しかし、それらを上回る大きなメリットがあります。

まずは、住宅ローン控除をフル活用できることです。預金連動型住宅ローンは住宅ローン控除の対象です。預金連動型では、余裕資金を預金しても借入残高自体が減るわけではないため、預金連動部分も住宅ローン控除が適用されます。残高の0.7%を最長13年間控除できるのは大きな魅力です。

次に、団体信用生命保険(団信保険)に加入できることです。住宅ローン利用者に一定の保険事由(死亡など)が発生した場合、生命保険会社がその時点の住宅ローン残高相当分の保険金を保険金受取人である金融機関等に支払い、金融機関等はその保険金を住宅ローンの返済に充当します。

保険金によって住宅ローンは完済されるため、家族はそれ以降の住宅ローンの返済から解放され、そのまま家に住み続けることができます。住宅ローンの団信は、一般的な死亡保険や医療保険に比べて圧倒的に保険料が安く設定されており、これを利用しない手はありません。

預金連動型のここにご用心!

一つ目は、「誰でも利用できるわけではない」という点です。一定以上の預金や資産を持つことが前提条件となっていることが多く、一部の金融機関では常に一定額以上の預金を維持する必要があります。また、預金連動型住宅ローンを扱っているのは東京スター銀行はじめ一部の金融機関のみです。

二つ目は、一般的な住宅ローンよりも金利が高いことです。そのため、預金残高が十分にないと支払う利息が増えてしまう可能性があります。山陰合同銀行では、借入額が3,000万円の場合、同社の一般の住宅ローンよりメリットがあるのは預金残高の目安を398万円以上などと案内しています。

三つめは、変動金利のルールが適用されないことがある点です。変動金利では急激な金利上昇から借入者を守るための「5年ルール(返済額固定)」や「125%ルール(返済額の変動幅)」がありますが、これらは東京スター銀行の預金連動型住宅ローンでは適用されません。

最後に、元利均等返済でも毎月の返済額が増加していくことがある点です。元利均等返済とは、元金と利息を合わせた返済額が毎月同じになるように計算した返済方法です。はじめは元金より利息の割合が多く、ローン残高が少なくなるにつれて利息より元金の割合が多くなります。

したがって、利息なし(実質金利ゼロ)だと、元金の割合が少ないはじめのうちは毎月の返済額が少ないが、ローン残高が少なくなるにつれて元金の割合が高くなり、毎月の返済額が増えていくことになります。ちなみに、東京スター銀行では元利均等返済しか選べません。

利用者Aさんの場合

2010年8月から東京スター銀行の預金連動型住宅ローン(変動金利型・元利均等返済)を利用しているAさんの例を見てみましょう。
【借入額】2000万円 【返済期間】33年 
【団信】がん保障特約付き→特約金利 年0.504%

年月年利率支払額うち元本うち利息うち保険料うち保証金借入残高利息の節約額利息の節約額累計
2010年8月1.40%177,614円56,819円0円15,795円105,000円26,943,181円28,350円28,350円
2015年8月1.45%71,072円57,196円19円13,857円0円23,630,971円28,604円1,868,582円
2020年3月1.35%73,735円61,769円0円11,939円0円20,347,986円22,961円3,263,599円
2025年6月1.50%74,999円65,416円0円9,583円0円16,316,022円20,477円4,577,006円

※ 保証金の金額は当時のものです

Aさんは、ほぼ「預金残高>借入残高」となるようにしているので、ほぼ実質金利0%です。上の表から、毎月の支払いは元本と保険料(団信)のみであることが分かります。約15年間の利息の節約累計(東京スター銀行の毎月の取引明細書に表示)は450万円以上です(金利はお高目ですが)。

また、Aさんは住宅ローン控除もフル活用し、年20万円以上、10年間で200万円以上控除することができました。この住宅ローン控除と団信こそ、Aさんが預金連動型住宅ローンを利用した理由です。もちろん、借入額相当の余裕資金が見込めたことが大前提ですが。

桜町不動産
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「実質金利0%」までは無理な方でも、預金連動型住宅ローンは手元に現金を残しつつ金利負担を軽減できる仕組みであるため、急な出費にも対応しやすいといった利点もあります。家計への負担を抑えながら効率的に住宅ローンの返済ができる手立てとして検討してみる価値はあるでしょう。

次回は、基本に立ち返って「元利均等返済」などの「返済方法」について解説します。


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