第10話では、賃貸住宅の「管理」が話題になりました。登坂不動産のもとに賃貸マンションやアパートの大家(所有者)から次々と連絡が入ります。用件は登坂不動産との管理委託契約を解除してミネルヴァ不動産に切り替えるというものでした。ミネルヴァ不動産の鵤社長は相場が5%の管理委託料を2%にすると大家に伝えたのです。
登坂不動産の管理委託料は5%です。背に腹は代えられません。永瀬は管理委託料をとりあえず1.5%にして他の名目で上乗せしようと考えます。しかし、結局は「(管理委託料が安いと)どうしても行き届かない点が出てきます。管理が手薄になって清掃もクレーム対応も雑になり、マンションに住んでいる方々が快適に暮らせなくなる可能性があります」などと現状維持を訴え、大家に頭を下げます。
ところで、賃貸住宅の「管理」とは何をするのでしょうか。永瀬は清掃やクレーム対応を例に挙げていますが、他にはどんな仕事があるのでしょうか。また、それは入居を仲介した不動産会社の仕事なのでしょうか。さらには、管理委託料が安いと本当に行き届かない点が出てくるのでしょうか。今回はドラマの本筋からは少し離れますが、賃貸住宅の「管理」について解説します。
賃貸住宅の「管理」は何をする?
賃貸住宅の「管理」の仕事には、まずは清掃を中心とした共用部分のメンテナンスがあります。清掃は日常清掃のほか、ポリッシャーや高圧洗浄機などを使う定期清掃、年に一度くらいは屋上清掃や外壁清掃などの特別清掃も行います。そして、クレーム対応も大切な仕事です。下表はよくあるクレームをまとめたものですが、特に「騒音」は個々人の感じ方の違いによるところもあり、対応が難しいことも少なくありません。
| 住民同士のトラブル | 設備不良などのトラブル |
|---|---|
| 隣の部屋や住人による騒音 ゴミ捨てルールを守らない 通路や階段の踊り場などの共用部分の使用 駐車場・駐輪場の使い方 近隣宅からのタバコの煙 ペット禁止なのにペットを飼っている 隣の部屋からの異臭 | 雨漏り 上の階からの水漏れ エアコンや給湯器などの設備不良 敷地内に不審者が侵入 鳩がベランダに寄り付く 虫の発生 |
その他、家賃に関することも「管理」の仕事です。家賃の滞納が発生したら、「管理会社(大家)」は、電話や訪問、督促状の送付によって督促を行います。入居者本人に督促をしてもすぐに支払いの目途が立たない場合は、「管理会社(大家)」から連帯保証人または家賃保証会社に連絡します。保証会社に加入している場合は、保証会社が代わりに家賃を支払い、その後は保証会社から借主本人に督促を行います。
「大家」「管理会社」「仲介会社」の役割と関係は?
賃貸物件の「冷暖房が効かない」「お湯が出ない」などのクレームが不動産会社によくあります。しかし、賃貸借契約を担当した不動産会社と物件の管理会社とは基本的には別です。賃貸物件には「大家」「管理会社」「仲介会社(◯◯不動産)」が存在し、それぞれの立場と役割は下表のとおりです。ただし、必ず三者が別々になっているとは限りません。
| 種別 | 大家 | 管理会社 | 仲介会社(◯◯不動産) |
|---|---|---|---|
| 立場 | 物件の所有者 | 大家から委託された物件の管理者 | 入居者の募集・案内・契約を結ぶ仲介者 |
| 主な役割 | 建物の維持管理 入居者の管理 | 建物の管理 入居者の管理 家賃の集金代行 | インターネットなどへの広告掲載 物件の紹介・ご案内 契約の手続き |
不動産会社が自ら所有する物件では三者を兼ねることが多いでしょう。しかし、大家が個人等の物件では、大家がすべて対応するのは無理があります。そこで、「管理」「仲介」ともに外部委託したり、「仲介」だけは不動産会社に依頼したりします。ドラマでは、登坂不動産などの仲介業者が大家と管理委託契約を結んで、「仲介会社」「管理会社」の二者を兼ねていたというわけです。
入居者側から見ると、賃貸借契約までは「仲介会社」に、入居後については「管理会社」か「大家」のお世話になるイメージです。「仲介会社」との付き合いはほんの一時ですが、「管理会社(大家)」との付き合いは長期になります。だから、入居者にとって「管理会社」はとても重要です。登坂不動産とミネルヴァ不動産では対応にずいぶんと差がありそうですね。
「管理」のトラブルを防ぐには?
落語には「大家といえば親も同然、店子といえば子も同然」なんてセリフがありますが、昔は大家と入居者の距離が近く、それが高じて入居者が大家にカネの無心をするなんてこともあったようです。今でも大家さんが自ら管理する自主管理の物件もあります。「隣に住んでいるからすぐに対応してくれる」という声がある一方、「高齢で本当に最低限のことしかやってくれない」大家さんもいるようです。
大家の高齢化が進んだり、大家が亡くなり所有者が遠隔地に暮らす子に代わったりして、賃貸住宅の「管理」は管理会社が担うことが多くなりました。しかし、大家(所有者)vs管理会社、入居者vs管理会社のそれぞれで「管理会社がどこまで管理してくれるかが不明確」なことに起因するトラブルが多く発生します。そこで国交省は管理委託契約の内容を明確にする「賃貸住宅標準管理委託契約書」のひな型を策定しました。
なお、「賃貸住宅標準管理委託契約書」は、現在は「賃貸住宅標準管理受託契約書」に変更されています。
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001416011.pdf
トラブルを未然に防ぐためには、まずは大家(所有者)がひな型のような管理委託(受託)内容を明確にした文書で管理会社と契約することです。そして、ひな形の第23条の定めの通り、管理会社には「入居者に対し、管理業務の内容・実施方法及び管理受託者の連絡先を書面等により通知」し、「管理」の範囲を可視化することが求められます。
それでも、夜間や休日といった営業時間外の対応の問題は残ります。そこで、管理会社(大家)が頼るのが、住まいのさまざまなトラブルに原則24時間365日対応してくれる「24時間サポート」です。加入は任意の場合もありますが、加入を賃貸借契約の条件にしているケースも多く、それ自体は違法ではありません。しかし、「24時間サポート」をめぐるトラブルもあるようです。
- あたかも強制であるかのような営業トークで加入せざるを得なかった
- 電話がつながらない
- 受付時間は10:00〜18:00と案内された
- 24時間対応でも深夜料金(追加料金)を取る
- 電話したら対応できないと言われた
- 対応が遅い
- 追加費用がかかった
- ちょっとしたトラブルは自分で、大きなトラブルは火災保険で解決できるから加入不要
仲介会社は「24時間サポートは、管理会社が営業時間外でも、提携のコールセンターや専門業者が対応してくれるため、特に一人暮らし・初めての賃貸生活・地方からの引っ越しでは安心感が大きい」などと勧めます。確かにその通りですが、月額1000円前後の利用料を支払い続け、退去まで一度も利用しないこともあるでしょう。利用するなら保険と割り切ることです。
「24時間サポート」を案内されたら、まずは任意か必須か、そして、加入が必須の場合は、サポートの具体的内容や無償サポートの範囲(作業時間超過や深夜の追加料金の有無)、有償サポートの内容や料金設定などについて確認しましょう。なお、「24時間サポート」を含む「借賃(賃料)以外に授受される金銭の額や目的」は、仲介会社が入居者に書面を交付して説明しなければならない重要事項のひとつです。
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賃貸住宅の「管理」は大家(所有者)と入居者の双方にとってとても大切です。大家にとっては入居率に直結するし、入居者にとっては住み心地を左右します。業界には「マンションは管理を買え」という格言まであります。
共用部分の清掃などが行き届いた物件には、それなりのきちんとした人が集まり、住環境もよくなるものです。賃貸住宅を探す際は、立地や間取り、家賃なども大切ですが、エントランスや駐輪場、敷地内の植栽などの「管理」のようすもチェックするようにしましょう。「環境が人をつくり、その環境は人がつくる」とも言われますから。
でもいえることです
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